短編でひといき

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<<   作成日時 : 2007/10/04 21:12   >>

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男は漫然と地元の中堅銀行に就職した。
とくに銀行マンになりたかったわけでもないから平凡にあっという間に2年が経過した。

男が入行したころは、銀行では大型コンピューターがすべての業務を取り仕切っていた。
その後パソコンでできることはパソコンでまかなおうとする傾向が進んできた。
もっとも民間でできることは民間でというキャッチフレーズとは関係ない。
大型コンピューターだけの処理に比べるとはるかにコストダウンできるからである。 

男は行内で始まったパソコン研修にも、あいかわらず渋々参加した。
ところがそんな研修の最中に、ふと閃くものがあった。
ネットバンキングについてのテーマのときであった。
銀行に出向かなくても、インターネット上で口座振り替えや送金が出来るシステムである。
そのユーザを特定するのがIDとパスワードだけであることに、完全犯罪の匂いをかいだのだった。

しかしそれを実行するにはIDとパスワードを知ることの出来る立場にならなければならない。
それからというもの、今までとは別人かと思うくらいパソコン習得に集中した。
その甲斐あってコンピューター部門に配属され、好きなように預金者のIDとパスワードを閲覧できる立場になった。

とはいっても、情報を悪用するだけでは何らかの痕跡も残るし、IDとパスワードを知りうる限られた行員が真っ先に疑われるのは明白だ。
彼は、さらにコンピュータの研鑚を積み、最初の閃き通りに、とうとう痕跡も残らず、外部犯行としか考えられない奇抜な方法を完成させた。

いよいよ実行する前日、彼は頭取から呼ばれ辞令を受けた。
努力する姿が評価され、同期のものからみると信じられない特進で常務になった。
こうして管理者側になってしまった身では、犯行を実行すると、犯人が見つからなくても自分の責任に及ぶことにやっと気がついた。

人がしたことでも責任を追及される大相撲の理事長が、身近に感じられる今日この頃である。

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