神かく語りき「美人」

お年よりの神様が、若い神様に訊いている。

「キミは、日本学というのをやっとるそうだが、それは面白いものかね?」

「ええ、まあこんなコロコロ変わる国も少ないから興味あります」

「どんなところが変わるんじゃ?」

「まあ、たとえば美人の定義ですね」

「どんな定義だね?」

「日本には平安美人という言葉があるのですが、端的に言えば下ぶくれの、胴長短足のぽっちゃり型が当時の美人でした」

「う~ん。ワシもそんなのがいいなあ」

「ところが、最近では、手足が長くて顔が小さく、目鼻立ちがはっきりしているのが良いとかになってます」

「そうだなあ」

「なんで、こんなに好みが変わるんでしょう? われわれはビーナス様で一貫しているのに」

「それには深いわれわれの慈悲がからんでいるんじゃ」

「といいますと?」

「むかし、胴長短足下ぶくれが美人の頃には、そうでない者は恵まれなかった。男は美人のあとだけを追っかけるから」

「まあ、わからないでもないですけど」

「だから慈悲で、そうでない者を美人に思い込ませるようにしたんじゃ。時間はかかるがな」

「なるほど。『胴長短足下ぶくれタイプ』の時代に恵まれなかった『長手足小顔タイプ』に惹かれるようにされたんですね」

「そうやってバランスをとるようにしたんじゃ」

「ということは、いずれまた基準を変えなければいけませんね」

「そうだ」

「いま、不美人だと嘆いている者にも希望が持てますね」

「そうね。だいたい1000年単位で見直すことになってるから、もう一度『胴長短足下ぶくれタイプ』が脚光を浴びるまでには、あと800年ぐらい待てばいい」

「われわれの世界では、それはホンの一瞬ですが、人間どもには永すぎませんか?」

「そうじゃなあ。格差社会はいかんから、もうそろそろ切り替えるか」

「思い切って2008年からというのはどうでしょう?」

「わしは構わんよ」

「日本人の一部の者にとっては、いい年越しの希望になりましたね」

「その者たちに祝福を与えよう」

「ついでに、同じように恵まれない頭髪の薄い男達にも」

「それはダメ。そんな男に惹かれるように、女の意識を変えるはじめたばかりだから」

「いつごろ効果が出てきます?」

「今回がはじめての試みだから、1000年後に見直すことにしよう」

(ガックリ…by作者)

にほんブログ村 ショートショート

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック